一人親方になるために必ずやるべきこと【第一弾】
建設業一人親方として独立してこれから請負で仕事を開始するために、最初にやるべきことは管轄の税務署へ開業届を提出することから始まります。
これは、これから一人親方として仕事を始めますよ!と国に対して宣言するものです。
その他にも法的な手続きはたくさんあります。その中で、重要なものとして確定申告もその一つです。
後々、事業の融資を受けたり、助成金や給付金などを申請する際にも確定申告をしていない場合、申請すらできない場合も多々あります。
そこで、この記事では一人親方として独立して円滑に仕事に従事するために必ずやるべきことを順番に解説します。
開業届の提出
一人親方(個人事業主)として開業する場合、税務署に届出を行う必要があります。届出には、開業する事務所所在地を管轄する税務署に電子申請(e-Tax)または書面にて提出することができます。
届出書類には、開業者の個人情報や事業内容、所在地、起算日等が必要となります。
開業届を提出することで、個人事業主として事業を開始することができます。
ただし、手続きには地域や業種によって異なる場合があるため、事前に管轄の税務署に確認することが望ましいです。
そして、開業届が受理されたら銀行口座(屋号口座)の開設を行います。
これから、元請け会社やお客様との取引口座として使用するのでお早めに開設することをおすすめします。
※開業・廃業等届出書ダウンロードはこちら(国税庁HPより引用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf
個人事業開始等申告書の提出
事業開始等申告書は、事業を開始してから15日以内に都道府県税事務所へ提出する必要があります。
個人事業開始申告書には、以下のような内容が含まれます。
・個人事業主の基本情報(氏名、住所、生年月日など)
・事業の種類、名称、場所、開始日などの情報
・事業に必要な資金、設備、人員などの情報
・事業の年間売上高、経費、所得などの見込み
・納税方法(簡易課税、青色申告など)の選択
申告書に記載された内容に基づいて、税務署は個人事業主に対する税金の課税や納付方法を決定します。
給与支払事務所等の開設届
一人親方になればいづれ給与を従業員や家族に支払うことになる場合があります。
その際に支払い予定の納税を源泉徴収として、納付する必要があり、そのための届出となります。
この届出をしておくことで、源泉所得税の納付書が送られてくるので、年度末に慌ててお金を用意する必要がなくなります。
用紙は国税庁のホームページからダウンロードができます。
事業を始めてから1ヶ月以内に税務署に持参または郵送して提出しましょう。開業届とともに提出しておくことをおすすめします。
※給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出のダウンロードはこちらから(国税庁HPより引用)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/008-1.pdf
国民年金への切り替え
会社勤めから一人親方として個人事業主になった場合、年金の種類が厚生年金から国民年金に変更になります。
この手続きは自分で手続きを行わなければ自動では変更にならず、忘れていると国民年金の支払いができずに、老後年金を満額受け取れないことになってしまいます。
ですから自分で手続きをしておきましょう。
各市町村の国民年金課にて、手続きを行えます。
国民健康保険への切り替え
一人親方になると健康保険は社会保険から国民健康保険に切り替えになります。これも自動的には行われません。
社会保険から脱退後に、ご自分で市町村役所の国民健康保険課に行って手続きを行う必要があります。
もし国民健康保険への切り替えを行わなければ、健康保険証がない状態になってしまうので、医療費が全額負担になってしまいます。
また、国民健康保険の種類として前述した「市町村国保」のほか、建設業に従事する方々で構成する組合国保(建設国保組合)があります。
前年度の所得によっては建設国保を選択すると年間保険料を大幅に削減できる場合がありますので自分はどちらを選択したほうがメリットがあるのか慎重に吟味されることをおすすめします。
確定申告について
確定申告は、所得税や消費税などの税金を納付するために必要な手続きです。日本の税制では、一定の所得や売上高を超えた場合には、確定申告が必要になります。
具体的には、個人の場合は、年収が一定額を超えた場合や、配偶者控除や扶養控除を受ける場合には、確定申告が必要になります。また、副業や自営業を行っている場合にも、確定申告が必要になります。
確定申告には、税金を適正に納付することに加えて、運転資金の調達や助成金や給付金などを申請する際にも役立ちます。
青色申告承認申請
青色申告承認申請とは、青色申告を行う個人事業主や自営業者が、税務署に対して青色申告を行うことを認める承認書を提出する手続きのことを指します。
この承認を受けることによって、青色申告による税金の申告が可能になります。
青色申告にすると、複式簿記での記帳を求められる代わりに税制上優遇を受けられます。
なお、青色申告には一定の条件がありますので、詳細については税務署や税理士に相談することをおすすめします。
青色申告とは
青色申告とは確定申告の種類の1つで、確定申告には2種類の申告方法があります。
- 白色申告
- 青色申告
の2種類で、青色申告の方が確定申告の書類は煩雑になるのですが、その分減税になる部分が大きくなります。
青色申告で減税になる部分が実際、かなり大きく、先住者給与など活用し切れば、数百万円の減税になる可能性もあります。
ざっと青色申告のメリットを列挙してみます。
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 貸倒引当金
- 純損失の繰越と繰り戻し
などが該当します。
この青色申告承認申請を行わない場合は、白色申告になりますが、どう考えても青色申告の方が減税で有利なので青色申告の申請は行っておきましょう。
青色事業専従者給与に関する届出
青色申告承認申請を行えば、次は青色事業専従者給与に関する届出を行いましょう。
「青色事業専従者給与に関する届出書」とは、青色申告で確定申告をしている事業者が、配偶者や親族に対して支払った給与を経費として計上するために必要な書類のことです。
青色申告事業者が事業を手伝う配偶者や親族に支払った給与は、そのままでは経費として計上できませんので、必ず届出書を提出しましょう。
そして以下の控除が受けられます。
- 納税者の配偶者であれば86万円の控除
- 配偶者でなければ50万円の控除
つまりあなたの年収を落とすことができます。そして年収を落とせば、納めるべき税金を少なくできる。
【例えば】
世帯年収を800万円にした時、あなたが一人で年収を受け取った場合は所得税が高くなってしまいますが、あなたに500万円の給料と配偶者に専従者給与として300万円でわけた場合はかなり節税が可能。500万円と300万円にわければ累進課税制度があるので、減税が期待できます。さらに配偶者は専従者控除を86万円受けることが可能なので、これも大幅な減税になります。
このように配偶者などの親族の経費として給与を支払うことで、あなたが支払う税金の額を減らすことができる。
ですから専従者給与を届出しておきましょうということです。これも税務署に提出すべきもので、税務署にいけば提出できますので開業届と同時に提出しておきましょう。
まとめ
一人親方になってまずやるべきことは、開業届です。
これから個人事業主としてやっていきます!と国に対し宣言するものですね。
この他にも一人親方がやらなければいけない法的手続きがたくさんあります。
今回は、「開業届」「確定申告」「青色申告承認申請」「青色専従者給与に関する届出」「給与支払事務所等の開始届」「個人事業開始申告書」「国民年金への変更」「国民健康保険の切り替え」など、一人親方が必要に応じてやらなければいけない法的手続きに絞って解説しました。
一人親方として独立してから焦って考えるのではなく、事前準備をして万全の体制で仕事に従事していただけたらと思います。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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