一人親方の皆さん、「職長教育」や「安全衛生責任者教育」を受けておくことは非常に重要です。
その理由は、現場によってはこれらの資格を持っていないと、作業に参加できないケースがあるためです。
本記事では、一人親方にもこれらの教育が求められる理由について、詳しく解説していきます。
一人親方の方にも「職長教育」や「安全衛生責任者教育」が必要な理由
一人親方の方におかれましても、「職長教育」や「安全衛生責任者教育」を修了しておくことは非常に重要です。
なぜなら、現場によってはこれらの教育を受けていないと、作業そのものに参加できないケースがあるためです。
そもそも、「職長教育」や「安全衛生責任者教育」はすべての作業員に必須の資格というわけではありません。
法律上は、現場に1人でも有資格者がいれば問題ないとされています。
しかし、現実の現場では「資格を持った人が必ず1人いる状態」を常に維持することは簡単ではありません。
とくに規模の大きな現場や、多数の作業者が日々入れ替わる現場では、誰がいつどの現場にいるかを正確に把握するのが難しい場合もあります。
その結果、たまたま有資格者が誰もいない状態で作業が行われてしまうというリスクが発生するのです。
こうした状況が生まれると、法令に違反した状態で現場作業が行われていることになり、もし事故が発生すれば大きな責任問題へと発展しかねません。
そのため、大規模な現場や安全管理が厳しい現場では、「全員が資格を持っている状態」を基本方針とし、リスクを未然に防ぐ取り組みが行われているのです。
これは、管理者側が「常に1人有資格者がいること」を確実にするための実務的な工夫とも言えます。
このような背景から、一人親方の方に対しても、職長教育や安全衛生責任者教育の修了を求める現場が増えてきています。
つまり、これらの資格を持っていないことで、現場への入場自体が制限される可能性もあるのです。
仕事の幅を広げ、安定して業務を受注していくためにも、一人親方の方にとってこれらの教育を修了しておくことは、今後ますます重要になっていくでしょう。
職長教育とは?
職長教育とは、製造業や建設業などの現場において、作業チームの監督やリーダー的な役割を担う人が受けるべき教育です。
職長は、工場や建設現場での作業が安全かつ適切に行われるように、作業員に対して指揮・監督を行います。現場での安全確保と業務遂行の中心的な存在であり、指示監督権を持つ立場とも言えます。
■ 職長の主な役割
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作業手順の策定・見直し
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必要に応じた安全対策の実施
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作業者の適正配置および教育
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危険行為の発見時の是正・指導
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災害発生時の迅速な対応措置
このように、現場全体の安全管理やチーム運営に深く関与する重要な役割を担っています。
■ 職長配置の基準について
職長の配置には法的に明確な人数基準は設けられていませんが、大規模な工場や建設現場などで、複数の作業グループに分かれて作業を行う場合には、各グループに職長を配置することが推奨されるケースもあります。
安全衛生責任者教育とは?
建設業や造船業などでは、一定規模以上の混在作業現場において、複数の下請事業者が関与する場合、労働安全衛生法により、下請事業者には安全衛生責任者の選任が義務付けられています。
そして、その安全衛生責任者として新たに選任される方は、「安全衛生責任者教育」を受講する必要があります。
■ 安全衛生責任者の主な役割
安全衛生責任者は、現場における安全管理体制の中で、以下のような役割を担います。
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元請事業者が選任する統括安全衛生責任者との連絡・調整
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統括安全衛生責任者からの指示事項の社内関係者への伝達と管理
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二次・三次下請事業者が存在する場合は、それらの安全衛生責任者との作業に関する連絡・調整
つまり、安全衛生責任者は、現場全体の安全体制の中間管理的な役割を果たし、上下間の円滑なコミュニケーションと安全確保の橋渡しを担います。
■ 教育の目的
「安全衛生責任者教育」の目的は、
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安全衛生責任者としての役割と責任を理解すること
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複数の下請事業者が混在する現場において、統括安全衛生責任者との連携を円滑に行うための知識を習得すること
です。つまり、現場の安全を確保し、適切な作業環境を維持するための知識と意識を身につけることが、この講習の大きな目的となります。
建設業の一人親方の方は、職長教育と安全衛生責任者教育の両方を受講すべき理由
建設業に従事する一人親方の方が、「職長教育」と「安全衛生責任者教育」のどちらを受講すべきかという点について、結論から申し上げますと、両方の講習を修了しておくことが望ましいとされています。
その理由は明確で、厚生労働省が建設現場においては、両方の資格を取得しておくべきであると推奨しているからです。
建設現場の安全衛生管理は、厚生労働省の管轄のもとで厳しく監督されています。そのため、厚生労働省が示す方針や基準は、現場で働くすべての作業者にとって非常に重要な指針となります。
したがって、一人親方の皆さんであっても、職長教育と安全衛生責任者教育の両方を修了しておくことが、安全面・法令遵守の観点からも不可欠だと言えるでしょう。
”引用元” 厚生労働省HP:建設業における職長等及び安全衛生責任者の再教育
まとめ
一人親方の方であっても、「職長教育」と「安全衛生責任者教育」の資格は取得しておくべきです。
その理由は、現場によってはこれらの資格を持っていないと入場が認められないケースがあるためです。
仮に資格がないことで現場に入れない場合、その時点で仕事を受けることができず、貴重な仕事の機会を逃すことになります。仕事を安定的に受注している方であれば問題ないかもしれませんが、仕事の有無が収入に直結する一人親方にとっては、現場に入れないことが大きなリスクになります。
そのため、仕事のチャンスを確実に掴みたいと考える一人親方の方は、あらかじめ職長教育と安全衛生責任者教育の両方を修了しておくことを強くおすすめします。
”出典”【俺の夢for MAGAZINE】:建設業における職長教育。安全衛生責任者との違いや学ぶ内容を紹介
”関連記事”:施工体制台帳への作業員名簿義務化の背景とは
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