一人親方になる時、開業届を税務署で提出するのですが、その時に屋号もつけることができます。
開業届では、屋号を書く場所があり、その屋号が基本的に未来ずっと使うものなので、一度決定すると変えにくい。ですから慎重に考えなければなりません。
違う事業をする場合は、また新たに法人を作ることもありますが、一度名刺を作ってしまったら変えにくいですし、請求書や領収書なども取引先に伝えて書面を変えてもらうわけにもいかなくなりますので、あとから変えることは実質不可能です。
ですから今回は屋号を付ける時の注意点や、実際の決め方などについて書いていきます。
一人親方の屋号の付け方
ここからは屋号をつける時のポイントは3つ
- 業務内容がわかるか
- 信頼性はあるか
- 読みやすいか
一つずつ詳しく解説します。
業務内容はわかるか
まず一番大事なのは、業務内容がわかるかどうかです。
建築業の一人親方の場合は専門にしている分野が必ずあるはずですよね。
- とび・土工工事業
- 電気工事業
- 塗装工事業
- 土木工事業
- 内装工事業
など、ここには書ききれないほどの専門分野があります。
ですからあなたはどこの分野を専門に行っているのかがわかりやすい屋号にすることをおすすめします。
相手のことを考えればわかるはず。
なぜなら屋号を見るのは相手様の企業です。
ですから相手様にわかるようにしておかないといけない。
例えばゴルフの会場で出会った取引先から仕事をもらうとします。
ゴルフ場でも名刺は交換するでしょう。
その時、意味がわからない屋号だと、なんの工事をしているのかはわかりませんし、わざわざゴルフ場で仕事の話をすることもないでしょう。
ですからあなたが何屋なのかわからないままその日を終えることになります。
では名刺の屋号が「〇〇塗装」という屋号だとして名刺にかかれていたらどうでしょうか。
もし塗装屋に仕事を依頼する際に、いつも依頼している協力会社が忙しくて捕まらなかった場合、新規に声がかかるわけですが、その時わざわざあなたに電話してきて「御社は塗装屋ですか?」とは聞いてくれません。
他の〇〇塗装という屋号の名刺を取り出してきて連絡するでしょう。
このように、屋号で業種がわかるかどうかはとても大切です。
必ず専門分野がわかるように屋号を決めるようにしてください。
なお専門分野が明確でない場合や、将来的に広げていきたい場合は、この限りではありません。
専門分野を明確にしない屋号で、専門を別に名刺で書いておくという方法もあります。
信憑性はあるか
足場を組み立てる、鳶のしごとで「崩」という感じを使っていればだれもその業者に頼まないでしょう。
さすがにそれはないとしても、どう考えてもふざけているような中二病全開の屋号もおすすめしません。
わざわざマイナスにするメリットはないので、お硬い信頼されるような名前を考えることをお勧めします。
読みやすいか
3つめは読みやすいかどうかです。
例えば読み方がわかりにくい英単語を使うのはダメです。
例えば、「refrigerator」という英語を使ったらなんて読めば良いのかわかりませんよね?
リフリッジレイターと読みます。つまり冷蔵庫のこと。
英語はかっこいいですが、読みにくいというデメリットも孕んでいます。
電話口で屋号をお話している時に説明しづらいし、わざわざ取引先にも読み方がわからなくて気を使わせてしまう可能性すらあります。
他にもこれは地名ですが、喜連瓜破(きれうりわり)と読むのですが、こんな漢字を使ってしまっても読み方がわかりません。
ですから一眼見て読みやすいかどうかにもこだわるべきです。
それが相手のことが考えられる屋号だと思います。
例えば難しい漢字の本名を屋号に使い際にも、ひらがなで書くなどの配慮が必要です。
屋号はどこで使うのか
まず屋号とはどこで使うのかですが、基本的には請求書などで使用します。
取引先に対して請求をする場合や、領収書を出して貰う場合、そして振り込み指定の銀行口座を作る場合にも、屋号を使います。
ですからふざけた名前にしていると、飲食店で領収書もらう際にも毎回恥をかくことになるし、取引先に請求書を送る際にも、笑われることになり不便です。
屋号をつけるのは義務ではない
そして開業届には屋号を記入する欄があるのですが、特に屋号を記載する義務はありません。
現在では個人で仕事をする人も多く、特に屋号がなくても自分の名前だけで仕事をしている方も多いようです。
ですから無理に屋号を付ける必要がないことは覚えておいてください。
禁止事項
屋号をつけるときの禁止事項が2つありますので注意が必要です。
まず1つ目は「会社」「法人」などのワードが使えません。
なぜなら法人ではないのに、法人だと勘違いするおそれがあるからです。
そして2つ目の禁止事項は商標登録されているワードです。
これは商標登録されていれば特許と同じで、独占する権利を持っている人がいるからです。
もし商標を使ってしまった場合、不当に得た利益として損害賠償を請求される恐れすらあります。
例えば身近な件をあげるとiPhoneはカタカナで書くと正しくはアイフォーンと伸ばす表記になります。
しかし実際に僕たちが口にするのはアイフォンの方が近い発音ですよね。
これは商標登録の問題があるからです。
つまりアイフォンは日本ですでに商標登録されており日本では使えなかったということ。
アイホンというインターフォンの商標登録があるため、アイフォンという表記も引っかかる。
ですからCMでも明確にアイフォーンと発音していますし、Appleの公式サイトでも必ずアイフォーンと書かれています。
世界の最大の企業の一つであるAppleでさえ崩せない商標登録。
一人親方だったらひとたまりもありません。
商標登録されているかどうかは特許情報プラットフォームで確認できますので必ず確認するようにしましょう。
税務署で屋号をつけるときには教えてくれませんので、自分で行う必要があります。
屋号を付ける手順
ではいよいよ、屋号をつけていきます。
まず最初は候補をとにかくたくさん出しましょう。
もしシンプルな名前でよければ名字と専門をつなげた〇〇塗装とか〇〇電気みたいな名前がシンプルでいいでしょう。
ただ味気ないなと思う場合は色々な名前の候補を出してみてください。
こういったお仕事をするデザイナーやコピーライターは、名前の候補を100個ぐらいあげてみるそうです。
そしてその中で厳選していく。
ですから私達素人が考える際にも同じように、たくさんの候補をあげていきましょう。
この時のポイントは「これはさすがにないな」と思う候補であっても、書いて残していくこと。
勝手に判断して消去しないこと。
最初はまず数を出すことが大切です。
そうすることでどんどん候補が出てくるようになります。
候補を絞る
ある程度まで候補が出てきたら。候補を絞っていきます。
おそらく10個ぐらいまでは絞りやすいのではないでしょうか。
そこまで減ってきたら、特許情報プラットフォームで検索し商標登録されているか確認しましょう。
確実に屋号を決める前にやっておかないと、決めたあとに商標に引っかかってしまったら疲れてしまいますから。
Google検索してみる
ここまできたら次にGoogleで検索してみます。
そして同じ名前の業者がないか確認します。
なぜなら同じ地域で同じ名前の業者があると、そちらに仕事を取られてしまったり、グーグル検索でも上位を取られてしまったら、仕事が減ってしまう可能性すらあるからです。
大阪の業者を東京で気にする必要がありませんが、同じ地域の場合は違う名前に変更したほうが無難です。
決定する
最後は決めるしかありません。
友人に相談してみたり、自分でも一晩寝かせてから判断してみるのもいいでしょう。
今後10年間は名乗るものだと思って決めるようにしてください。
まとめ
屋号は必ず付けなければならないものでもありません。
しかし銀行で口座を分けたりする場合、仕事用の口座が屋号がついていると管理が楽になるでしょう。
最初に決めたら、あとでなかなか変更できませんのでじっくり考えるようにしてください。
なお屋号を決めるのは税務署で開業届を出すとき。
開業届けを出す前に必ず屋号を決めてから税務署に行くようにしましょう。
※所轄税務署を探す→国税庁より
参考記事→建設業一人親方が営業の名刺を作るときに気をつけるべきこととは?
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