一人親方が労災保険に加入すべき時、選択肢に上がるのが民間の労災保険ですが、大きな現場で必要な労災保険とは、民間の保険ではなく国が準備している公的な労災保険のことです。
つまり民間の労災保険にどれだけ高額な保険料を支払って、加入していたとしても、現場に入ることはできないということです。
もちろん民間の保険にも存在意義はあるのですが、現場に入るための保険ではないということですね。
では現場に入るためにはどうすればいいのか、そそて民間保険の役割についても解説していきます。
一人親方が現場に入るために必要なのは公的な労災保険
一人親方の皆様が「労災保険に入っていないと現場に入れない」と言われたときに、加入しなくてはならない労災保険は国の特別加入の一人親方労災保険です。
民間保険商品では建設現場には入れません。
一人親方の労災保険は一般の雇用された労働者と同等の補償内容を一人親方に適用するものです。
労災保険の内容は、ケガの治療費、休業補償の他、障がいや死亡まで補償するものです。
特に障がいや死亡については、本人や遺族に年金として生涯補償をすることになっています。
そして現場に入るために、安全書類というものを作成するのですが、そこには保険番号を記入する必要があります。
これは民間の労災保険の保険番号では代替できなくて、国が発行した労災保険の保険証の番号が必要なのです。
民間保険は事業者向け
民間の保険について見てみましょう。
例えば損保ジャパンの「労働者総合災害保険」は加入対象者が一人親方ではなく、事業者向けの保険となっています。
一人親方でも加入はできますが、自分の怪我の補償や休業の補償などのためのもの。
それは国の労災保険が補償してくれるので、問題はありません。
民間の労災保険に加入するメリットは、社員などを雇った場合にあります。
社員が労災に遭ったときに、上乗せ補償をする内容となっています。
なぜ上乗せするのかというと、労災保険の補償額では訴訟されたケースでは金額がまた苦足りない恐れがあるからです。
どういうことかというと、例えば社員が仕事中の事故で万が一亡くなった場合、会社の安全にあ働かせる責任を問われます。
実際建設業の仕事中の死亡事故の場合は自動車事故並みの損害賠償請求が起こることもあり、実際に可決されています。
つまり数億円の賠償金を支払う義務が生じる恐れがあるということ。
この数億円の賠償金だったり、訴訟の費用を負担するために必要なのが上乗せの民間保険なのです。
ですから個人で仕事をしている一人親方に必要な保険ではないということですね。
そして言葉の通り、労災保険の代わりでははなく、労災保険の上乗せです。
つまり、事故によるケガや後遺症、死亡が労災と認定され、政府労災保険の給付が行われることを前提としています。
つまり、政府労災保険が適用されないと保険金が出ないのです。
したがって政府労災の適用、保険給付があって、初めて上乗せとして保険金が支払われます。
また、加入するのは主に建設会社で従業員を多数使用しているところです。
こういう会社は、従業員が労災に遭って、安全配慮義務で訴訟を起こされるリスクがあります。
そこでそういうリスク軽減のためにこのような保険をかけたりするのです。
また、グリーンサイトの登録に必要であったり、建設業における経営事項審査の評点を上げるためにこのような保険を利用することがあります。
このような保険にも一定の意義はあります。
被災した労働者にさらに手厚い保障を準備するのは、動機や目的はどうであれ良いことと考えます。
しかし、基本的には一人親方のための保険ではありません。
現場保険、工事保険との違い
政府労災保険で保障されるのは、被災者の体についてです。被災した方の治療費、障がい、死亡に対する保険給付です。
まだ現場でのリスクはあって、工事現場でものを壊してしまった場合の補償が用意されていません。
塗装工事をして、隣の家のクルマに塗料が飛んで付着してしまったり、施工の欠陥で建物が崩壊したり、他人をケガさせてしまったり、また工事現場で資材が盗難に遭ったりした場合に保険金が出る保険です。
怪我以外にもたくさんのリスクが現場にはあるのでそれ俺にあった民間の保険に加入する必要も出てきます。
現場に入れるのは政府労災保険だけ
結局、建設現場に入れる保険は、政府の特別加入の労災保険(一人親方労災保険)だけです。
国の労災保険は一つしかありません。
保障内容等、すべて法律で決められていて、この保険に加入するには労災保険特別加入団体に加入する必要があります。
一般的には労災保険とは労働者の権利なので、事業主である一人親方は補償されないのですが、建設業の一人親方はほぼ労働者と同じ環境で働いていることも多く、特別加入として労災に加入できる特別措置を受けられています。
ただ一人で加入することはできず、労災保険特別加入団体を事業所(会社)と見なし、一人親方を従業員(社員)と見做す制度になっているからです。
基本的な補償内容はどこの団体に加入しても同じです。
しかし一人親方様が加入する団体によって大きな差が生じます。
どの団体を選ぶべきか
団体により、加入した一人親方様に用意しているサービスが重要です。
もちろん会費などもかかるのでその料金も違います。
しかし料金だけを見て選ぶと、後々苦労することになりかねません。
労災保険特別加入団体は労災保険を取り扱う窓口ではありますが、その前提は加入者となった一人親方様の安全衛生や福利厚生を増進する活動をしなくてはなりません。
そして、昨今では、ただただ会費の安さや、手続きの速さだけを宣伝する団体が増えているのが現実です。
一人親方様には、一人親方様の利便性を追求する本物の一人親方団体を選択してもらいたいと思います。
一人親方の民間労災保険
民間の労災保険は一人親方労災保険の代用にはなりません。
「現場に入るために労災保険が必要だ」と言われたときに、加入しなくてはならないのは、民間の損害保険ではなく、政府の特別加入労災保険です。
損害保険会社の中には「一人親方労災保険」と称して、単なる傷害保険を販売しているところもありますが、政府労災保険の代わりにはなりません。
損保ジャパン等の民間保険も一定の意義はありますが、一人親方を対象としたものではありません。
昨今では、建設現場で働く一人親方には特別加入労災保険の一人親方労災保険が要求されます。
大きな現場では元請けが全員に保険加入させる義務を担っているからです。
そして一人親方労災保険に加入するためには、労災保険特別加入団体に所属する必要があります。
基本的にどの団体でも政府の労災保険ですから、労災事故時の保障内容は同じです。
まずは加入するために団体を選び、そこで手続きを行ってもらいましょう。
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