一人親方の年金事情

 

一人親方が老後にもらえる1月あたりの年金は約7万円。

 

たったのこれだけでは生活しておくことができませんよね。

 

でも会社員の年金の支給額は17万円程度。

 

この2倍以上の差は厚生年金が受け取れるかどうかで変わるのです。

 

今日は厚生年金とはいったいなんなのか。そして一人親方はどうすればいいのかについて書いていきます。

 

一人親方は厚生年金に加入できない

 

日本で用意されている公的年金には国民年金と厚生年金の2種類が存在します。

 

今までどこかの会社に所属していて、年金保険料を給料から天引きされていた場合、厚生年金と国民年金の両方に加入しています。

 

その一方で一人親方は厚生年金に加入できません。

 

なぜかというと厚生年金は公務員や会社員が自動的に加入する公的年金であり、個人事業主である一人親方は加入できません。

 

ですから一人親方が加入できる公的年金は国民年金のみです。

 

厚生年金とはいうのは、半額は会社が負担してくれているもの。

 

ですから会社に所属していないと受け取ることができません。

 

だからと言って、自分で厚生年金を支払うのは馬鹿らしいのです。

 

なぜなら厚生年金は支払った分を取り替えることができないからです。

 

厚生年金は本当に有利なのか

 

厚生年金が受け取れれば、老後も安心なのにと思いませんか。

 

でも本当に厚生年金は有利なのでしょうか。

 

実は厚生年金はとっても損をする年金なのです。計算してみます。

 

厚生年金の平均受給額は165,668円で、厚生年金を受給開始してからの平均寿命は19.57年。

 

年金の総受給額は3900万円です。次に支払額を考えてみます。

 

ユースフル労働統計2018 労働統計加工指標集によれば、大学卒業から定年まで働いた場合の生涯賃金は2億7000万円。

 

これに18.3%の保険料率をかければ、厚生年金の総支払い金額が計算されます。

 

計算してみると4900万円。4900万円を支払っているのに3900万円しか支払われない。

1000万円も消えて無くなるのです。

 

厚生年金があれば老後の受給額は金額的には安心ですが、とても損をする年金なのです。

 

ですから厚生年金に加入できないことを悲観する必要はなく、その資金を使って自分で年金を準備する方が賢明です。

 

ですから一人親方は年金が少ないけれど、その分自分で有利な年金を用意できるということなのです。

 

一人親方が受給する年金の平均は64,941円

 

一人親方年金額

 

まず現実から見ていくと「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男性の平均支給額が165,668円です。

 

国民年金は20歳から60歳まで、全額納めた場合の受給額は64,941円です。

 

会社員で受給できるのは国民年金+厚生年金なので、平均で230,609円の受給できている計算です。

 

これに対し個人事業主である一人親方の場合は、国民年金しか受給できませんので64,941円。

 

以上の金額は全て月額です。

 

たった7万円弱でこの時代にどんな生活ができるのでしょうか?

 

絶対に生活は成り立ちませんよね。

 

ではどうすべきかというと、自分で資産運用を考えていく必要があります。

 

実際、一人親方の場合は、厚生年金や社会保険料を支払っていない分、高額な報酬を受け取っています。

 

自由に使って自由に増やせということです。使うも殺すも自分次第。賢く資産運用しないと、老後に困ることになるでしょう。

 

どんなものがあるかというと

  • 国民年金
  • 国民年金基金
  • 個人型確定拠出年金
  • 小規模企業共済

などがありますので一つずつ紹介しましょう。

 

国民年金

 

国民年金って大事って言ってももらえないんじゃないの?って思いかもしれませんが、受給ができると断言できます。

 

なぜ断言できるのかというと国民年金の支払いは自由だからです。

 

厚生年金はサラリーマンの給料から天引きされるため強制的に支払われます。

 

つまり厚生年金は金額は高いものの支払いを逃れることができません。

 

これに対し国民年金は加入を法律で義務づけられていますが、支払いするかどうかは個人の自由です。

 

支払いの義務はあるけれど、支払いしないことの罰則はなく、受給額が減るだけという仕組みです。

 

実質支払いは自由です。そして国民年金は支払えば将来確実に得をする構造になっています。

 

なぜなら支払いが自由なので、得をしないのであれば誰も支払いません。

 

ですから国民年金は必ず支払われ、かつ必ず得をする年金なのです。

 

国債を発行して借金してでも払い続けるでしょう。

 

そうでもしなければ国が確実に破綻するからです。

 

現時点で国民年金の総受給額の平均は、総支払い保険料の平均の1.9倍。

 

元本の約2倍の年金を受け取れています。

 

つまりはたら言いている間積み立てておけば、倍になって帰ってくるということ。

 

しかも補償付きです。ここまで有利な資産運用はありません。

 

もちろん将来的に保険料が上がり、受給額が下がる未来は用意に予想できます。

 

ただし運用利益が出なければ支払う人はいなくなるでしょう。

 

この現実を考えれば、国民年金を支払う人が得をする仕組みは絶対に崩れません。

 

あるとすれば日本国が破綻する時です。ですから国民年金は必ず払われる。

一人親方にとって必ず加入すべき保険と言えるでしょう。

 

国民年金基金

 

国民年金と国民年金基金とは別物です。

 

国民年金基金は厚生年金を受け取れない個人事業主が、国民年金のみでは生活できないためにできたものです。

 

国民年金の任意加入をしていなくても、国民年金基金に加入できます。65歳から受け取る事ができ、終身年金が基本となっています。

 

国民年金基金は、基礎年金とは違って加入は任意です。加入資格は「国民年金の第1号被保険者なら誰でも」ですが、以下の方は加入できません。

 

また65歳以上の方も対象外となります。

  • 国民年金の保険料を未払い、免除されている方
  • 農業者年金の被保険者の方

また加入は口数制で、何口加入するかによって将来の給付額が決まります。

 

一口あたりの掛金は加入時の年齢や性別、選択した給付の型で決まります。

 

最大掛金は、月額6万8,000円です。最大の特徴は確実に運用されること、そして生きている間ずっともらえることです。

 

参考:国民年金基金HP

 

個人型確定拠出年金

 

個人型確定拠出年金は掛け金を毎月調整しながら、積み立てて行く自由が効く年金です。

 

これも20歳から60歳までの日本国民が加入できます。

 

iDecoとも呼ばれています。

 

積み立ては5000円以上で、1000円刻みで自由に選べます。

 

受け取り方法は「一括受け取り」「5年〜20年の分割受け取り」「一部を一時受け取りし、残りを分割受け取り」の3種類の方法があり、自由に選択できます。

 

このように積み立ても、受け取りも自由度が高いのが特徴です。

 

さらに税制上の優遇があり、全額控除。つまり支払うべき税金の中から支払いが可能だってこと。

 

節税できるってことですね。最大の掛け金は月額6万8000円。

 

参考:個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

 

小規模企業共済

 

小規模企業共済は、いわば退職金制度です。

 

個人事業主には退職金がないので、自分で積み立てておく退職金と考えればよいでしょう。

 

小規模企業共済の掛金は、1000円から70000円の間で、500円単位に設定できます。

 

最高で年間840000円まで積み立てられますが、これは全額所得控除(小規模企業共済掛金控除)ができます。

 

引退して退職をする際や、会社を畳む時などに受け取ることができるのですが、掛け金の100%以上が帰ってくるので安心して積み立てられます。

 

節税しながら貯金して、引退するときにもらえる退職金になるというところでしょうか。

 

納付した掛金に対して100%以上の解約金が受け取れるのは、納付月数が240ヶ月以上の場合のみ。

 

納付月数が12ヶ月未満ではお金は受け取れません。

 

参考:中小機構

 

他にも資産運用の方法はたくさんある

 

ここではある程度確実にリターンがある、ローリスクローリターンの資産運用の方法を紹介してきました。

 

しかしこの他にもたくさんの資産運用があります。

 

インデックス投資をはじめとして手堅い資産運用もあれば、リスクをとって積極的に増やしていくこともできる。

 

その複利で運用すれば資産を倍に増やすことだって可能なんです。

 

一人親方になったからには会社は守ってくれませんので老後の資金は自分で用意しておく必要があります。

 

収入が増えたからといって、生活のレベルをあげていると老後に痛い目に遭うでしょう。

お気をつけください。

 

本来なら厚生年金を支払う予定だったお金を、まずは

  • 国民年金
  • 国民年金基金
  • 個人型確定拠出年金
  • 小規模企業共済

などに支払っておき、さらに増やしたい場合には、リスクをとっていくというパターンもありではないでしょうか。

 

いずれにしても厚生年金はありませんので、自分で老後の資金を用意しておく必要があります。

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