建設業一人親方が加入すべき保険と会社員が加入すべき保険は全くの別物です。
自分は大丈夫と思い込んでいませんか?
今までと同じようにやっていたら、いつか大きな損をする可能性があります。
では一人親方はどんな保険に入るべきか、今回は各役割ごとに5つの保険を紹介します。
これから加入を検討される方や現在加入している保険の見直しの参考になれば幸いです。
一人親方が入るべき保険の種類
まず一人親方が加入すべき保険の種類について触れていきましょう。
- 社長用の生命保険
- 社長用の医療保険
- 工事保険
- 任意労災
- 労災の特別加入
の5つです。
1つずつみていきましょう。
社長用の生命保険
日本人のほとんどが加入している生命保険ですが、もちろん一人親方も、もし結婚をされているのなら加入した方がいいでしょう。
結婚されている場合、保険金はいくら加入すればいいのかというと、あなたがもしなくなっても、家族が露頭に迷わない程度の金額が妥当です。
その金額は3000万円は必要でしょう。
結構1000万円で設定されている人も多いですが、もしあなたがなくなった時に1000万円の保険金を奥さんが受け取って、1000万円で何ができるというのでしょうか?
仮に3000万円でも怪しいはず。
ただ金額を大きくすればするほど、その分保険料も増えるのでどこまで出せるかの兼ね合いもあります。
もし1億円必要でもさすがに1億円となると、保険料も恐ろしいほど上がってしまうので支払いが困難になりますしね。
ですので保険だけで以降の生活費を全て賄うのではなく、ある程度事業を継続できるように準備しておくとか、もしくは奥さんが少し働ければ、なんとか生活を維持できるようにしておくのもいいでしょう。
その月々必要な金額を算出して、子供が大きくなるまでなんとか持ち堪えられるような金額を設定しておくのが無難です。
とここまでは、一般的な生命保険の役割を書いてきましたが、一人親方の場合別の生命保険に入る理由があります。
それは社内留保。
会社として利益が出てきたときに多額の税金を支払わなければいけなくなりますが、その節税として生命保険が使えます。
どういうことかというと、生命保険は契約形態や保険商品によって経費計上ができる場合があります。
法人であれば、全額計上できるものもあります。
そして解約返戻金がある保険に加入すれば、赤字になった場合や、どうしても会社にお金が必要なときに非課税で引き出すことも可能。
そして生命保険の解約返戻金を担保にお金を借りることだってできるんです。
さらに何も使わなかった場合は退職金として引き出せば、税率が有利なので老後の蓄えとしても有利。
つまり社長には社長の生命保険があるので、生命保険の加入は会社のお金を使って加入しておきましょう。
そうしないと税金を多く払ってしまって損することになります。
社長用の医療保険
医療保険は給付を受けるための保険。
すなわち生きている間にもらうための保険です。
生命保険は残された遺族のために加入するものですが、医療保険は生きている間に病気にかかった時に保障してくれるものです。
なぜ加入すべきかというと、三大疾病になってしまった時の医療費や、働けなくなった時の生活費などを補填するものです。
これはもし万が一、十分に働けなくなったとしても、どうにかなるように準備しておくべきですね。
ただしこれも必要な金額全部に掛けていると、保険料は異常なほど急騰してしまうため、ほどほどにするしかありません。
ただしこれはやっぱり個人のお話。
社長には社長の医療保険があるんですね。
法人向けのものも多いですが、経費計上できる個人事業主のための保険もあります。
保険料が経費計上できるので税金で負担する分を保険料に回せば、さらに多くの補償を受けることができます。
さらに社員までカバーできる福利厚生プランもあり、社員が大きな病気にかかった際にもお金を支払ってあげるられるようにもなるかもしれません。
工事保険
そして3つ目が工事保険。
工事現場でなにかをぶつけて壊してしまったり、他人にケガをさせたり、対人対物等で賠償をしないといけないタイミングで、その賠償金を補填する保険です。
自動車保険でいうところの対人対物のところが、この工事保険にあたります。
どんな工事であっても、賠償金というのはとても大きくなる場合があります。
なぜかというと物自体は安いものを破損してしまった場合でも、店舗さんなどであるとそん店舗が休業しなければならないものだったり、利益を減らしてしまったりすれば、利益を補填しなければならないことになります。
つまり壊しても大したものはないと言っても、そう言った賠償金が怖いのです。
ですから工事保険は建設業の一人親方さんは、ほとんど加入している保険ですね。
この保険に加入していなかれば、入れない現場もあるため、基本的には準備しておくといいでしょう。
保険料は業種と売上高によって決まるので、一人親方の場合はそこまで高い金額にはなりません。
一人親方が必ず入っておくべき保険と言えるでしょう。
任意保険
任意労災はこのあと紹介する労災保険のさらに上乗せで加入する保険のこと。
一人親方であっても労災の特別加入をしているので、基本的に怪我の補償には困りませんし、怪我で休んでしまったとしても休業補償もありますのでそこまで困りません。
ではなぜ加入するかというと従業員の訴訟に備えるためのものです。
従業員が仕事中の事故で怪我をして後遺症が残って賠償金を請求してきたり、亡くなった場合の遺族が賠償金を求めてくるケースがあります。
その金額は判例で数億円に登ることもあり、そうなれば会社は潰れます。
そして従業員だけでなく下請けに関してもこの責任を負う必要があります。
これは判例で出ているので仕方がありません。
ですから一人親方に仕事を依頼したり従業員を雇い始めたら、会社としての責任もあるため、訴えられても生き続けるためにも必ず加入することをおすすめします。
労災の特別加入
労災の特別加入とは、国が準備している労災保険。
仕事中の怪我に対する保険に加入できるというもの。
一人親方は基本的には労働者ではなく、個人事業主のため、労災には加入できないのですが、一人親方は実態として労働者と同じ環境で働いているため、特別に労災保険の加入を許されています。
ただし個人で加入できるのではなく、一人親方部会グループなどの労災保険特別加入団体を通じて加入する方法をとる必要があります。
建設業の場合は怪我の恐れも多く、現在は大きな現場では労災に加入していない一人親方は仕事ができないことになっていますので、保険料等が一番安い給付基礎日額3,500円からでもいいので加入しておくべきです。
ただ休業補償などに関しては、しっかりと実態に合った保険料を支払わなければ、希望するような金額がもらえなくなるので、しっかりと実態に沿った金額を一人親方部会に相談するようにしましょう。
法人化すると保険料を抑えることができる
もし保険料が高いなと思う場合は法人になることをお勧めします。
なぜなら法人にとって保険料は経費になります。
個人の場合は経費計上できない部分も多く、税金を支払った後のお金で支払うことになるのですが、法人の場合は課税前収入で支払うことができる。
つまり保険料は大して安くはないのですが、税金を払う予定だった収入から保険料を払えるので節税になるということです。
ですから保険料を抑えたい場合には法人になることをお勧めします。
労災の特別加入は必ず加入しておきましょう
そして最後に、特別加入は必ず加入しておきましょう。
怪我した場合にも治療費が全額支給されますし、怪我で休んだ場合にも休業補償が出ます。
しかもその保険料は非常に安いのです。
同じレベルの保険に民間で加入しようとすれば、保険料はこの状態ではすみません。
つまりかなりお得な保険になっているから加入しておくべきなんですよね。
さらに言えば、今は安全書類などを準備する際に、労災保険の番号が必要になるときもある。
言い換えると言い換えると現場に入るための必要な保険でもあります。
自分の補償のためにも、現場に入るために仕事を受けるためにも必要な保険。
ですから労災には必ず加入しておくべきです。
まとめ
一人親方にとって必要な保険とは
- 社長用の生命保険
- 社長用の医療保険
- 工事保険
- 任意労災
- 労災の特別加入
の5つです。会社員の頃と違うのは確定申告があるかどうか。
ここでしっかりと知識をえておくとお金を増やすこともできる。
しっかりと学んでお得に保険を選んでください。
そして改めて、労災保険には必ず加入しておきましょう。
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